やばいやつら

会社の刊行物で見つけた「女性ならではのきめ細やかな仕事」という一文を読み上げて「これやばいですね」と言ったら同僚(女性)はどこが「やばい」のかわからないみたいだった。「きめ細やかな仕事ができるかは個体差であって性差ではないです」と言うときょとんとしていた。会話を聞いていた周りの人らも誰も反応しなかった。「時代遅れの一文ですね」と構わず続けた私はメンドクセー奴か。

職場でのヒールの着用を求めることが「パワハラになりうる」というニュースを見た。女性のヒールに好意的な男性は多い。前職の経営者はあからさまな男尊女卑だった。自分の好む服装や言動が人事評価の基準になっていたり、事業規模に見合わぬ容姿端麗な女性秘書を欲しがったりした。彼の中にしかない「女性はこうあるべき」が蔓延していて気色が悪かった。

従順な女性社員は、会社に着くなりいそいそとヒールに履き替えていた。そう、権力に抗わない女性たちは自ら、毎朝美しくもないヒールに足を入れていた。ヒールを履かない選択肢を持たない女たちと、たかが何センチの女性らしさを求める男たちよ。薄っすらと漂う主従関係をやり過ごせる無感覚者にこのニュースの「やばさ」はきっと届かない。


0 comments on “やばいやつらAdd yours →

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。