高らかな笑い声で彼がオフィスにいるかはすぐわかる。取材、出張、原稿執筆、誌面ディレクション。彼がその忙しさに心を乱さないのが不思議だった。ついに理由を聞いた時「息抜きしてるからね」と表情を緩めた。海を眺め波に乗る。彼は海の近くに住むことを選んでいた。彼のために。

その日、昼食に誘った。初めて誰かを誘った。彼は意外にも自分の状態に気付いていて、オレが泣かせてるみたいだなと笑った。会社に行けなくなったのはその数日後だ。この間、清水の砂浜を歩いてみた。靴に砂が入って、少し寒かった。


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