身寄りのない老人ヘンリー・ダーガーの死後、15冊にも及ぶ原稿や巨大画集、数百枚の絵が借家の大家に発見された。『非現実の王国で』とタイトルされ、ひっそりと存在していた彼だけの世界。60年以上を費やした奇妙なライフワークだった。
驚いたのはドローイングが彼のオリジナルではなかったことだ。例えば少女のイラストは大衆紙の切り抜きのトレースでしかない。グロテスクな虐殺シーンは絵画に閉じ込めることでかろうじて抑制された狂気を感じさせる。ひとりの人間が創造した代替世界に圧倒される一冊。《→Amazon》
■追加
2011年開催の『ヘンリー・ダーガー展』のサイトで8作品が掲載されています。
絵の中に手描きの説明文が入っていることも彼の作品の特徴でしょう。
http://www.lapnet.jp/event/event_l110423/#mainVisual
この作家さんの話、とても興味深いです。
ノーマ、っていうのは、ローマのことなのかな?
無知でわからないけど、内容にも歴史的な下敷きがあるのかな?
ヴィヴィアンガールズの存在・・・。
>ちんみん氏
画集の後半はボリュームのある解説書になっていて、そっちだけでも一読する価値があると思う。
そこで「17才で精神薄弱児収容施設を脱走し、・・・さらに徴兵後に除隊になった経験に失望」したことが触れられていたよ。
だから戦争のシーンばかりを描いたのでは、と分析されていた。
ヴィンテージ風の色彩とキモカワな少女たち(ヴィヴィアンガールズ!)で受け入れられているけど、所有者が展示を自粛している強烈な作品もあって観る人によっては要注意かもしれない。
「ノーマ」についてははっきりとわからない。創造上の地名か誤字かどちらかだと思う。
画集の解説には、常習的な誤字はそのままにし、突発的な誤字は直したとあったよ。