金曜の夜の忠犬

週末を控えた夜の駅。こんなにたくさん人がいるのに誰とも交わらず、待ち合わせもせず、街はただただ混雑している。

忠犬は改札口に忠実な眼差しを向けている。待ち合わせのあてがないのにここにやって来た人は、その犬についてぼんやりと考える。傷ついた人は、その犬に愛しさを感じている。

今夜はいつものコンコースを使わなかった。お前の姿をあいつに見せたくて地上に降りたんだぜ。


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