去年の暮れの、ある音楽。

アコースティックギターの彼は軽妙なしゃべり口で会場を和ませたかと思えば、椅子からひっくり返りそうになりながらギターを弾いた。客は演奏に聴き入ったり、携帯電話で時間を見たり、手拍子をしたりした。

『もー何していいかわかんないよ』と嘆いた今日、その時の空気をふいに思い出した。彼は今週末もどこかで歌を歌うのだろうな。正しさとか、金とかじゃなく、自分のやり方で。そう思うと今更ながらじんときた。その日演奏の最後に回ってきたざるに硬貨を入れた時よりも、ずっと。


2 comments on “去年の暮れの、ある音楽。Add yours →

  1. 「自分のやり方で」という言葉がいい。
    「自分のやり方」で真剣に生きている人に会うと
    とてもほっとするし、勇気がでてくるよね。
    その「やり方」に自信が持てなくなったり、
    げんなりしたり、ときに過信したりして、
    つい、自分のやり方でなくなって、
    ペースが崩れてしまって、
    疲れきっている自分に気がつくことがあります。
    こういう歌を時々聴けたら、
    ペースをふっと、とりもどせそうな気がします。
    最近歌きいてないなー。

  2. >ちんみんさん
    今も昔もこれからも、何事も、正しいか正しくないかは自分で決めたいと思う。
    でも時々、その基準さえ曖昧になってしまうことがあります。
    (そうやって悩むことも、決して正しくないことではないと思うんだけど)
    このライブを観た時、このやり方が彼が考える最善のエンターテイメントなんだと思ったよ。

    最近また、昔君とライブに行ったような熱い音楽を聴いているよ!
    当時を思い出すと興奮しちまう。

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