Archive for the 'ただいま失業中' Category

ただいま失業中〜第6回 月イチのある儀式

会社を辞めたひと全員が失業給付を受けられるわけではない。書類には積極的に就職活動を行っているにもかかわらず、職業に就くことができない状態が条件とある。受給希望者は一ヶ月に一度やってくる「認定日」をパスしなくてはならない。 期間中に求職活動の実績が2回以上あれば認定がおり(数日後に給付金が振り込まれ)る。求職活動の実績とは求人応募やハローワーク窓口での職業相談のこと。前回の転職で使った職務経歴書をMacで更新した、だけだった。まずい認定日まで一週間しかない。慌ててセミナーに申し込んだ。


ただいま失業中〜第5回 なんのために働くか

説明会の受付で雇用保険受給資格者証という長い名称の書類を貰った。名前入りで内容はひとりずつ違う。離職理由の欄には31の印字。31番に該当する離職理由の中に「嫌がらせ」がある。その字面が後味の悪い過去の出来事を思い出させた。 番号は失業給付の支給期間を左右する。31番は会社都合の退職であり自己都合退職より期間は長くなる。与えられた180日間、半年と思えば長い。けれど安心できる心境でもない。社会復帰。いちど手放した働く日々をもういちど。いよいよその軌道に戻るとき、なにを大事にすべきだろうか。


ただいま失業中〜第4回 木曜日の無口な集団

二週続けてハローワークに行ってきた。先週は雇用保険説明会があり、会議室に150人ほどが集まった。職員によれば「ここにいるのは失業給付を受給する資格のある人たち」だそうだ。資格とはつまり、正当に失業しているということだろう。 同じ、失業したての人たち。40代が多そうだ。望まない退職を強いられた人はどれだけいるんだろう。十分な貯蓄と再就職に困らないキャリアを持った人もいるだろうな。人々は口をかたく結び、表情からはなにも読み取れなかった。緊張も落胆も期待も自分だけが抱えているような気がした。


ただいま失業中〜第3回 書類はなにを、語るのか

番号を呼んだ職員はクドカンに似ていた。会社から届いた書類を手渡す。書類には月単位に分割された休職期間の日付がずらりと並んでいた。数字の密度がワケアリ感をみなぎらせている。彼がそこに目を留めると緊張の針がぐんと右に振れた。 全部で1年半、はい。春に復職予定だったんですけど突然退職を勧められて、ええそうです。だからここ、ほんとは「異議あり」で。会社の都合でできた書類。簡素・事務的・他人事。パワーハラスメントがあったことなどどこにも書かれていない。今はワケアリな人なのだ。労働基準法的に。


ただいま失業中〜第2回 はじめてのハローワーク

「なし」に丸をつけた書類が離職票に姿を変えて戻ってきた。雇用保険の給付に必要なその書類を持ち、まずは区役所で健康保険の加入手続きをした。受け取った保険証が小さな安堵をもたらす。たったの数日でも保険証がないのは心もとない。 翌日は新宿へ。平日の昼過ぎのハローワークはみっしり混んでいた。100台近くある求人情報閲覧用のパソコンもほぼ満席。指定された6番窓口の発券機で番号札を取り椅子に座って待つ。鞄から出した本を開いても文章が頭に入らない。仕方なくiPhoneを触っていると自分の番号が呼ばれた。


ただいま失業中〜第1回 内容に異議あり

会社から書類が届いたのですぐ開封して記入を始めた。面倒は早く片付けたい。もっとも書類は迅速に返送せねばならなかった。人事担当者は週明けの到着を指定してきた。今週、会社を退職した。生活は変わらない。失業者になっただけだ。 会社が記入した退職理由欄には「体調不良により復職困難」とあった。本人は「異議あり・なし」のどちらかに丸をつける。異議は、大ありだ。一方、傷病手当金を受給しているのも事実だ。しかるべき機関に相談したかったけれどあいにく休日だった。10分悩んだのち「なし」に丸をつけた。