ただいま失業中〜第3回 書類はなにを、語るのか

番号を呼んだ職員はクドカンに似ていた。会社から届いた書類を手渡す。書類には月単位に分割された休職期間の日付がずらりと並んでいた。数字の密度がワケアリ感をみなぎらせている。彼がそこに目を留めると緊張の針がぐんと右に振れた。

全部で1年半、はい。春に復職予定だったんですけど突然退職を勧められて、ええそうです。だからここ、ほんとは「異議あり」で。会社の都合でできた書類。簡素・事務的・他人事。パワーハラスメントがあったことなどどこにも書かれていない。今はワケアリな人なのだ。労働基準法的に。


2 comments on “ただいま失業中〜第3回 書類はなにを、語るのかAdd yours →

  1. 異議あり、の訴えをできないほどの速度で
    いろんなことが進められていくのはみていて悲しい思いがします。
    せめて、これらの書類を扱う人が、
    書類上は、事務的でも、こころの通った支援ができる人たちでありますように!!

  2. >ちんみん氏
    ありがとう。うん、そう願ってます。

    退職するにあたって会社と書類のやり取りがあったけれど、
    すべてスラスラとはいかなくて、書く手が止まる瞬間が何度かあった。
    その度に人を信じようとしたり、疑って嫌な気分になったり。
    でも、働くことはそういう感情も含めて人との関わりなんだよなあと思い出した。
    いちいち疲れてしまうあたり、まだ自分のモードが社会のそれに切り替わっていないと実感したよ。

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