眺めのない店

通り沿いのコーヒーショップは客の顔の高さにフィルムが貼られている。通りに向かって座りはするが、外から顔が見えるのをよく思わない人が増えたのだろうか。少なくともこの店では、道ゆく人を眺めながらお喋りすることはできない。

このコーヒーショップには勉強する学生や、本や新聞を読む人が目立つ。店はコーヒーだけでなく集中も提供しなくてはならなかった。そして目線フィルムが窓の外の景色を不自然に分断した。街のありようをぼんやり眺めることがなくなれば、人はセンチメンタルから離れていく気がする。


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