高円寺のわかしおさん

商店街を歩いていると色んな女の子に会う。特急わかしおのバッグを提げた彼女を密かに「わかしおさん」と呼んでいた。わかしおさんは商店街から一本入った路地の道端に今日もいた。「ねえ」

「最近よく通るよね?」普段から人懐こそうに通行人を眺めていたけど現実に話し掛けられると面食らう。隣駅のジムに行ってると答えると「じゃ歩いてすぐだね」と微笑んで歯が見えた。歩くのは片道130円の電車代を節約するためだった。うつむいて早足で。すぐ、か。何気ないわかしおさんの一言がちっぽけな虚しさを蹴っ飛ばした。


2 comments on “高円寺のわかしおさんAdd yours →

  1. 友達の100才のおじいちゃんはちょっと前に亡くなったけど、最後までタバコ現役で、若いときには、茨城から東京の友人の新居祝いに植木をリヤカーで持っていったらしい。朝は早くに出て、利根川を渡って夕方に着き、御祝いの酒を飲んで次の日の朝に空になったリヤカーを引いて茨城に帰ってきたらしい。おれ、その話聞いておもったんだよね。タバコって体にいいんだって。。ちけーよ。隣町!(笑)

  2. >ひろ氏
    リアカーも引いてないし利根川も渡らなくていい。
    植木も持っていないので前後左右は自由だし、タバコはやめたけどチャージする距離でもない。
    今の生活を前向きに楽しもうとはしているんだけど、時々ふっとくるんだよね。その気持ちを書いてみました。
    なんてことない言葉が人を救うという体験だったな。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。