落下さえ美しい朝(プリズム奪還編)

落としたのはiPhoneだった。太陽が高く昇るほどに背中の林檎は輝きを増していく。この間液晶パネルを割って新たに手に入れたiPhone5が、今うつ伏せで息を潜めている。コンクリートに打ち付けられた新しい君、すまない。美しい林檎のプリズムではなく、早く君の顔を見せてくれないか。

昼近くになって商店が開店し始めた。シャッターのあく音を聞きさっそく一軒を訪ねてみる。脚立の貸し主は建物に立てかけた段をのぼりiPhoneを手渡してくれた。電源も入る、ひびもない。君に手の届かなかった6時間の長さったらなかったよ。


2 comments on “落下さえ美しい朝(プリズム奪還編)Add yours →

  1. 無事に奪還されて
    よかったよ!

  2. >ちんみん氏
    部屋からは表が見えなかったけど、完全に修理になると思ってた!
    割れていなかった奇跡。(・・・・・・今のところは、ってことは大丈夫だよね!?)

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