走るめろす

めろすは焼きたてのパンを抱え走った。予告なく隆起したアスファルトにいく度かつまづきもしたが柔らかな一斤を守りぬいてタソヌンティウスの家にたどり着いた。めろすには調理がわからぬ。だがパン作りに必要な粉の配合には詳しかった。

めろすは台所に立つと慣れた様子で一斤を等分に切り分け、今日と明日の分を除いた三切れを冷凍庫にしまった。保存料の類が入っておらず日持ちがしないのだと静かに言った。彼は迅速にすべてを完了させた。めろすのパンは余計な味がせず、ただ旨い。焼けばパンケーキのように甘くなる。


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  1. >ちんみん氏
    めろすパンにはくるみが入っていた。気が利いている。
    旨いパンを手に入れたというだけで、この一週間は充実した気分であったよ。
    言うまでもないことだが、タソヌンティウスはひそかに次を期待しているのである。

  2. タソヌンティウスよ!
    くるみパンなんて素敵すぎるね、めろすは。

  3. >ちんみん氏
    チミヌンティウスよ!
    私はくるみに驚いた。いや感激したのだ。
    洒落たトッピングがされた旨いめろすパンをついに食べ切ったこの手持ち無沙汰。
    でも、あなたに報告したい。
    めろすが再度パンを持って現れたことを。

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