はじめての鍼(埋もれる骨)

内科検査で異常は見つからなかった。これで一連の不調はストレスが原因と判明して、喜んでいいのかわからない。内科医は検査結果を告げるとこれ以上は自分の範疇でないとでも言いたげに「終わりです。」と早々に会話を切り上げてしまった。心療内科の診察のある来週までなにもしないでいるには身体がつらい。病院の前から吉祥寺の鍼灸院に電話をかけて2日後の予約を取った。

問診のあと背中が開閉できる診察着に着替えてうつ伏せになる。ペリッとマジックテープを剥がし背中をみた先生は「これは……おつらいでしょう!」と驚いた。筋肉がパンパンに張り、肩甲骨が埋まっているらしい。目の届かない背中の様子に苦笑いしたと同時に、個人的な不調に向き合ってくれる人が現れたことに安堵した。

鍼を刺すときは痛みを感じない。特に凝り固まった筋肉に鍼をトントンと入れていくときだけ、身体の芯に「ズーーン」と響く感覚がある。うつ伏せで首・肩・背中・腰、仰向けで前頭葉・眉間・頬・首・手足首、腰掛けて肩と背中をもう一度。全部で50〜60本打ち終盤には「肩甲骨が出てきましたよ」と声をかけられた。今は嬉しくて、一日に何度も胸を張って肩甲骨の存在を確かめてしまう。


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