同僚が鬱になって

向かいの席の同僚が会社に来なくなって4週目。彼が鬱病と診断されたと聞いても驚かなかった。駄目になっていく姿に、自分の過去を重ねていたから。

解析士の彼は、計算は得意だったけれど数値の扱いは苦手だった。意見や説明は的外れなことも多い。上司や先輩社員に指摘されるたびに「すいませんすいません」と笑いごまかしていた。期待されていた仕事は遂行されず、チームメイトをやきもきさせた。

40近い大人が若い社員にだけ態度を変えることや、不快なほど笑い声が大きいことに皆は眉をひそめるようになった。私には居場所のなさを悟った人の言動に見えた。社歴の長い主力社員たちが離席すると業務の相談を持ちかけられた。彼は周りに萎縮し続けて「期待されていた仕事」をする余裕を失い、休みがちになり、ついには会社に来なくなった。

先週の会議で女性社員が「折角のお休みなんだから楽しいことを考えて過ごしてほしいですね」と言った。その幸福な鈍感! 楽しいことなんて考えられるかよ! あんたみたいな人達に苦しめられてきたんだ、と私の中の何かが跳ねた。

私は会議室の時計を指差して「平日のこの時間に家にいる、働けない自分を責めて、今はつらい以外ないと思います」と言った。高ぶって語気が強くなった。皆は静まり沈痛な顔をつくった。


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