隣の席のみーちゃん

みーちゃんとは16も年が離れているが美大卒同士の親近感でなんとなく親しい。某歌劇団の追っかけに給与の大半を突っ込む、都会ど真ん中実家暮らし女子(25)である。デスク一帯ピンクだらけで、頼んだデザインは許す限りピンキー仕上げ。軽い舞踏会並のボリュームスカートをはいて頭にでっかいリボンをくっつけている。さぞかし多摩美でも浮いていただろう。

毎朝のデータ報告ミーティングはもれなく寝ている。午後などは「これさあ」と急に横を向いて話しかけるとマウスに手をおいたまま寝ている。だけど仕事はめちゃくちゃ早い。みーちゃんの緩急をつけた働き方には一目置く。

好みでない仕事が山積するとあからさまにムスっとする。社会人なんだしサ? と腹も立つが、しばらくすると勝手にリカバリーしていて「これカワイくないですかあ〜?」と無邪気にモニタを指さしたりして、私のイライラは霧散する。

この間は「40過ぎて独身とか絶対嫌じゃないですかあ?」と当事者(私)に向かって大胆な失言をして、目を丸くして「あっタソさんのことじゃないですう〜」と今更どうにもならない言い訳をしていた。ともあれ、浅はかで夢見るみーちゃんとの取るに足らないやりとりが、仕事の息抜きになっているのは間違いない。


0 comments on “隣の席のみーちゃんAdd yours →

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。