ナチュラルに差別する馬鹿野郎ども

お調子者の部長が社内イベントの出し物で動画を撮ると言い出した。『今年、〇〇を頑張りました!』という馬鹿げたボードを持ってひとりずつスピーチしろという。無許可の強制参加だ。「私はお断りします」と真顔で言うと「そーゆーの得意でしょ?」とへらへらして取り合わない。女性社員たちはヤだよネーと言いながらボードをデコレーションし始めた。

先週はあのおぞましい朝礼のスピーチをやらされた。自分の番だと知らされたのは5分前だが、拒否すれば次の順番の誰かが同じ目に遭うからやらないわけにはいかなかった。声は震えてかすれ、すぐに息が切れ、語尾は消え入って聞こえなかっただろう。醜態を晒したショックでその日は誰ともまともに顔を合わせられなかった。

今の私は人前で話すと発作が起きる。副作用のある薬も飲んでいる。一部の人間の薄ら寒いお楽しみのためにコンディションを犠牲にすることなど絶対にあってはならないと思う。けれども抗議をすればそれ自体が発作を引き起こす。この組織は社員の精神疾患を許容しないどころか、病気とわがままの区別もつけられないだろう。

私は馬鹿げたボードを手に持ってカメラの前で喋った。ポストイットでカンペを作ろうとしたけれど、動揺が伝染した文字はぐちゃぐちゃで判読もできず泣きたくなった。ナチュラルな差別を笑顔でやってのける馬鹿野郎はそこらじゅうにいる。想像力の欠落した恥ずべき人間に、哀れみの眼差しと確かな軽蔑を。


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