と、いうわけでお世話になりました。

実は、転職先となったA社には元同僚がいる。仕事で六本木に出かけるついでにランチの約束をしていた。内定前に社内事情を聞き取るつもりが奇しくも前日に内定が出た。ネットでA社の評判を調べると評価の分かれる個性の強さを感じる。業界特性なのだろうか、化粧品開発畑で働いてきた彼はあまり気にしていない風だった。「待ってる!」と言われて別れた。

私の退職は、元“他部署のお局”の現マネージャーから、部長・社長・役員・人事部へと速やかに伝達され、7月末付の退職が確定した。

部長にあらためて退職理由を聞かれたので「社員を信頼しない組織には、その逆もないということです」と答えた。彼は私の会社への煮え切らない思いを知っている。ノイズにまみれながらも働き続けたのは、顧客コミュニケーションの仕事が好きだから。そして、今はキャリアを積むときと決めたから。

カフェでパフェを食べながらの面談で本音も飛び出す。「辞める人は他にもいるけど、タソさんは引き止めたくなる」「そうですか光栄です」「部下としては扱いにくいけど。ハハハッ!」「でしょうね!」。私はこの人に何度も噛み付いてきた。こんな組織で聞き分けの良い社員でいられるかよ。話すたび「と、いうわけで今までお世話になりました」と語尾につけては笑った。


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